CAR-T 細胞療法のトリセツ 改訂2版**中外医学社/高折 晃史/978-4-498-22545-9/9784498225459**
発行 2025年9月
判型:A5判 234頁
ISBN 978-4-498-22545-9
監修:高折 晃史
編著:新井 康之
著:チームCAR-T
CAR-T細胞療法に携わるすべての方へ
事前準備から細胞調製の実際,適応判断から投与後の合併症管理まで,紹介元施設やCAR-T実施施設で行うすべてのプロセスを,医師・看護師・臨床検査技師など多様な職種からなる本治療のトップランナー「京大病院『チームCAR-T』」が解説した好評書の改訂版.「連携強化」,「運用最適化」,「治療効果向上」のノウハウがさらに進化し,最新の実践入門書として生まれ変わりました.
【目 次】
CHAPTER 1 CAR-T細胞療法の基礎知識
1-1 造血器腫瘍における新規治療の必要性
1.造血器腫瘍発症のメカニズム
がん遺伝子の活性化とがん抑制遺伝子の不活化の機序
B細胞の分化成熟と発がん
B細胞腫瘍に発現する抗原の特異性とCAR-T療法
2.B細胞リンパ腫における化学療法の現状
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫
濾胞性リンパ腫
3.B細胞腫瘍における新規治療
免疫チェックポイント阻害薬
二重特異性抗体
その他の新規治療薬
1-2 CAR-Tの基本
1.CAR-Tの構造とその作用機序
キメラ抗原受容体(CAR)の構造とCAR-T細胞
CAR-T細胞の作用機序
2.CAR-T臨床応用の歴史
CAR開発以前の免疫療法
CARの初期開発
CARの改良
B細胞腫瘍に対するCD19標的CAR-T細胞療法の開発
開発中の新規CD19標的CAR-T製剤
その他の標的抗原に対するCARの開発
3.保険診療で使用可能な製剤とその特徴
CD19を標的とするCAR-T細胞療法
BCMAを標的とするCAR-T細胞療法
CHAPTER 2 CAR-T細胞療法導入の準備
2-1 採用準備と施設監査
1.チーム立ち上げの必要性と各メンバーの役割
細胞療法センターの設立
チームCAR-Tの立ち上げと任務
臨床現場におけるチームCAR-T内での情報共有
2.施設維持のための文書管理
ノバルティスファーマ社によるGlobal Auditの経験から
文書管理体系の確立
施設維持のための手順書と記録書
CAR-T細胞療法の実施のための文書管理
3.FACTやISOに基づいたQMS
CAR-T細胞療法における医療機関の位置づけと品質管理
FACTやISOに基づくQMS
品質リスクマネジメント
2-2 臨床現場での準備
1.準備すべき手順書や記録書
アフェレーシスに関する手順書・記録書
細胞調製に関する手順書・記録書
細胞取り扱いに関する手順書・記録書
細胞投与やその後の経過観察に関する手順
細胞療法運用全体に関する手順
2.他施設や製薬会社との連携
施設間連携の重要性
製薬会社との連携の重要性
2-3 適格性と患者選択
1.保険診療上の適格性と施設における受入基準
B細胞性急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)
悪性リンパ腫
多発性骨髄腫
2.患者紹介のタイミングと日程調整
患者紹介の最適化
CHAPTER 3 アフェレーシスと細胞調製
3-1 アフェレーシス
1.リンパ球アフェレーシスの原理と手技
バスキュラーアクセス
準備とプライミング
採取原理と採取の実際
装置関連のトラブルシューティング
2.アフェレーシスの計画と効率化
アフェレーシスの計画
アフェレーシス効率化の取り組み
3.CAR-Tアフェレーシス中の看護
準備
患者入室
実施中の観察:アフェレーシスの合併症
実施中の介助:体動制限などによる安楽障害・ADL低下
終了後
3-2 細胞調製
1.単核球の分離と凍結
遠心
上清除去
凍結保護液作成
凍結保護液添加,凍結バッグへの分注
凍結
2.アフェレーシス産物の品質管理と記録
アフェレーシス終了から単核球分離まで
単核球分離中
プログラムフリーザーでの凍結保存
凍結保存終了から出荷まで
3.CD3測定の標準化
機器・要員の管理
検査実施
CHAPTER 4 CAR-T細胞療法前の管理
4-1 製造
1.製造状況の確認と製造不良の予測
製造状況の確認
製造不良の予測
2.規格外製品治験の準備と運用
規格外製品とは何か
規格外製品提供に関する規制
規格外製品治験立ち上げのポイント
スムーズな移行・実施のためのコツ
4-2 投与前治療
1.ブリッジング療法の内容とタイミング
化学療法の種類
化学療法のタイミング
放射線療法
2.リンパ球除去化学療法と処方監査
リンパ球除去化学療法の目的
リンパ球除去化学療法の用法・用量とハイドレーション
腎機能低下時の減量
併用に注意する薬剤
CHAPTER 5 CAR-T細胞投与後の管理
5-1 投与直後から急性期の管理
1.投与管理と観察項目
CAR-T細胞療法の主な副作用
投与管理
副作用管理(観察項目)
2.投与直後の観察と急性期対応
サイトカイン放出症候群(CRS)
免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群(ICANS)
アナフィラキシー
腫瘍崩壊症候群(tumor lysis syndrom, TLS)
偽増悪(pseudo-progression)
3.CAR-T細胞療法後のICU管理
CAR-T細胞療法の臨床応用
ELIANA 試験における知見
Tisagenlecleucelの市販後の評価
CAR-T細胞療法の主たる合併症であるCRS
ICU管理に対する準備
重症CRSの経過とマネージメントの実際
Column CAR-T療法後の重症化と集中治療〜集中治療医の見地から
5-2 投与後中長期の対応
1.治療効果判定と後治療
大細胞型B細胞リンパ腫におけるCAR-T療法後の治療効果判定と後治療
FLにおけるCAR-T療法後の治療効果判定と後治療
B-ALLにおけるCAR-T療法後の治療効果判定と後治療
多発性骨髄腫におけるCAR-T療法後の治療効果判定と後治療
2.血球減少と免疫不全
CAR-T療法後の血球減少
CAR-T療法後の免疫不全
3.CAR-T細胞療法後のリハビリテーション
CAR-T細胞療法患者に対するリハビリテーション
CAR-T細胞療法患者の身体機能の特徴および治療前後の変化
Column 退院後も注意が必要な副作用
CHAPTER 6 細胞療法の未来
6-1 構築すべきシステム
1.細胞療法におけるデジタルトランスフォーメーション
細胞療法におけるDXの例
今後の課題
2.細胞療法における医療安全
新薬に関するリスク
集中治療室入室に関する体制
説明および同意の取得に関する体制
適応外使用に関する体制
不具合に関する対応
3.OJTに基づいた人材教育
OJTとは
特定細胞加工物等製造施設(CCMT)での取り組み
OJTとPDCAサイクル
細胞療法を促進するために
6-2 将来展望
1.新規細胞療法の臨床開発
固形がんCAR-T療法の開発状況
CAR-T細胞のoff-the-shelf製剤
当院の取り組み,固形がん細胞療法チームの結成
2.リアルワールドデータ解析による治療成績の向上
臨床現場からのクリニカルクエスチョン
投与後の凝固異常症
投与後の電解質異常
再発予測