産婦人科医とスタッフのための 精神疾患合併妊娠の診かた**金芳堂/鈴木 利人/978-4-7653-2054-2/9784765320542**

販売価格
5,940円(税込み)
編著
鈴木 利人
出版社
金芳堂
分野
産婦人科学

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書籍版 販売期間
2025/05/30~
JANコード
9784765320542
商品コード
9784765320542
発行 2025年5月
判型:A5判 283頁
ISBN 978-4-7653-2054-2

【編 著】
鈴木 利人(順天堂大学医学部附属順天堂越谷病院 院長)
佐藤 昌司(大分県立病院 院長)

精神疾患合併妊娠の周産期管理におけるあらゆる疑問に答えます

精神疾患を合併する妊娠は、近年増加傾向にあります。精神疾患の有病者自体が増加傾向にあり、特に女性の比率が高いうつ病が増加していることから、精神疾患合併妊娠が増えていると考えられます。精神疾患の早期受診や心理・社会的支援の普及、外来完結型治療への移行によって妊娠の機会が増えてきたこと、さらに生殖機能に影響を及ぼさない新規薬剤が増加していることなどが、精神疾患合併妊娠が増加した要因とされています。

このような状況の中で、精神科領域が専門ではない医療者にとっては、産科の臨床現場で戸惑う場面が増えてきています。

本書では、周産期における精神疾患や向精神薬に関する最新の知識、EPDSの運用方法や注意点、現場での具体的なQ&A、多職種連携の実践例、将来を見据えた取り組みの紹介など、充実した内容を掲載しております。また、対談では国内の周産期メンタルヘルスに関して、各方面からの声を集め、今後の展望を見通せる内容となっています。

単に疾患の説明にとどまらず、患者からどのような訴えがあり、どのような症状が見られるのか、さらにその対応についても具体的に示していますので、精神科の実際に詳しくない産婦人科医をはじめ、妊産婦に関わるすべての医療者の皆様にとってお役立ていただける一冊です。

【目 次】
はじめに
   
Ⅰ章 産婦人科医に知ってほしい精神疾患の理解
  1.統合失調症
   1)疫学
   2)臨床症状
   3)経過
   4)治療
   5)妊娠中に留意すること
   6)出産後に留意すること
  2.双極症
   1)疫学
   2)臨床症状
   3)経過
   4)治療
   5)妊娠中に留意すること
   6)出産後に留意すること
  3.うつ病
   1)疫学
   2)臨床症状
   3)経過
   4)治療
   5)妊娠中に留意すること
   6)出産後に留意すること
  4.不安症(パニック症、広場恐怖症、限局性恐怖症、全般不安症)、PTSD
   不安症
   1)疫学
   2)臨床症状
   3)経過
   4)治療
   5)妊娠中に留意すること
   6)出産後に留意すること
   PTSD
   1)疫学
   2)臨床症状
   3)経過
   4)治療
   5)妊娠中に留意すること
   6)出産後に留意すること
  5.摂食障害
   1)疫学
   2)臨床症状
   3)経過
   4)治療
   5)妊娠中に留意すること
   6)出産後に留意すること
  6.発達障害
   1)疫学
   2)臨床症状/経過
   3)治療
   4)妊娠中に留意すること
   5)出産後に留意すること
  7.産後うつ病
   1)疫学
   2)臨床症状
   3)経過
   4)治療
   5)妊娠中に留意すること
   6)出産後に留意すること
  8.産褥精神病
   1)疫学
   2)臨床症状
   3)経過
   4)治療
   5)妊娠中に留意すること
   6)出産後に留意すること
  9.周産期ボンディング障害
   1)疫学
   2)臨床症状
   3)経過
   4)治療
   5)妊娠中に留意すること
   6)出産後に留意すること
   
Ⅱ章 向精神薬と妊娠・授乳
  総論 精神科医による妊産婦への向精神薬処方の基本的アプローチ
   1)向精神薬処方の基本原則
   2)主な向精神薬の特徴と処方の意図
   3)新生児不適応症候群
   4)授乳への影響
   5)向精神薬を内服している妊産婦への対応のポイント
  1.抗精神病薬
   1)代表的な商品名と一般的な用量
   2)精神科医の処方の意図
   3)一般的な副作用
   4)薬物治療を中断した際に生じうること
   5)催奇形性・産科合併症・胎児への影響・発達症などのリスク
   6)授乳への影響
   7)精神科薬物療法を実施している患者について、産婦人科医として留意すること
  2.抗うつ薬
   1)代表的な商品名と一般的な用量
   2)精神科医の処方の意図
   3)一般的な副作用
   4)薬物治療を中断した際に生じうること
   5)催奇形性・産科合併症・胎児への影響・発達症などのリスク
   6)授乳への影響
   7)精神科薬物療法を実施している患者について、産婦人科医として留意すること
  3.気分安定薬
   1)代表的な商品名と一般的な用量
   2)精神科医の処方の意図
   3)一般的な副作用
   4)薬物治療を中断した際に生じうること
   5)催奇形性・産科合併症・胎児への影響・発達症などのリスク
   6)授乳への影響
   7)精神科薬物療法を実施している患者について、産婦人科医として留意すること
  4.抗不安薬
   1)代表的な商品名と一般的な用量
   2)精神科医の処方の意図
   3)一般的な副作用
   4)薬物治療を中断した際に生じうること
   5)催奇形性・産科合併症・胎児への影響・発達症などのリスク
   6)授乳への影響
   7)精神科薬物療法を実施している患者について、産婦人科医として留意すること
   
Ⅲ章 EPDSの理解と用い方
   1)EPDSの開発の流れ
   2)EPDSの基本的理解と運用
   3)EPDS利?に際しての限界と注意点
   4)EPDSの産後4週目以外での実施
   5)EPDS以外のスクリーニング法
   
Ⅳ章 周産期メンタルヘルスの現場のQ&A
   精神科未受診患者編
   Q.1 産科医・スタッフが患者の精神疾患に気づくために、必要な知識とは何か?
   Q.2 精神疾患が疑われる妊産婦で、精神科診療を勧めるタイミングと、その際の留意点とは何か?(緊急対応を含めて)
   Q.3 精神科に紹介する際に、紹介状に提供すべき情報とは何か?
   Q.4 産婦人科施設で精神疾患が強く疑われる患者を診察した際の対応をどうするか?
   Q.5 「受診既往」はあるが現在は問題ないように見える患者を事前紹介しておいた方がよいか?
   
   精神科通院患者編
   Q.1)向精神薬の服薬アドヒアランスの不良(拒薬)に気づいた際、あるいは最近の精神症状の悪化に気づいた際にどうするか?
   Q.2)向精神薬内服中の妊婦から、内服中の薬の相談をされた際の対応は?
   Q.3)過量服薬による自殺企図(未遂)など緊急を要する事態に遭遇した際にどのように対応するか?
   Q.4)分娩の際に向精神薬の調整をどのようにするか?
   
Ⅴ章 地域・病院における多職種連携の紹介
  1.地域の取り組み 大分県
   1)大分県における多職種連携の取り組みの概要
   2)大分県におけるサポート体制の基本的スタンス
   3)産科医療機関および関連職種におけるハイリスク妊産褥婦の抽出と対応
   4)対応結果の集積、検討とフィードバック
   5)今後の展望
  2.地域の取り組み 岡山県
   1)社会的ハイリスク妊産婦のもつリスク因子
   2)「妊娠中からの気になる母子支援」連絡システム(岡山モデル)
   3)岡山モデルと「メンタルヘルスの課題」への対応
   4)岡山モデルのデータ解析と産科医医療や行政施策への反映
   5)妊娠初期に産後のうつ状態を予測できるか
   6)「メンタルヘルスの課題」を念頭に、岡山モデルの今後の展望
  3.地域および病院の取り組み 滋賀県における大学病院産婦人科・精神科
   1)当院における多職種連携の取り組みの概要
   2)うまくいった事例
   3)うまくいかなかった事例
   4)2、3を踏まえての、今後の展望 ~コンピテンシーを発揮した多職種連携の促進~
  4.地域および病院の取り組み 東北大学病院における多職種連携
   1)取り組みの概要
   2)取り組みを始めたきっかけ/理由
   3)取り組んでみてよかった点
   4)これから取り組みを始める施設へのアドバイス
  5.地域および病院の取り組み 札幌圏域の大学病院・地域総合病院
   1)2つの病院における周産期メンタルヘルス支援
   2)周産期メンタルヘルス支援の実践
   3)病院の成り立ちからみたメンタルヘルス支援の特徴
   4)それぞれの病院の課題
   5)展望
  6.地域および病院の取り組み 済生会横浜市東部病院
   1)はじめに:済生会横浜市東部病院の概要
   2)多職種多機関連携の実際と心理職の役割
   3)うまくいった事例:妊娠中から心配事を把握し、院内・院外の多職種連携を始められた事例
   4)うまくいかなかった事例:産後まで心配事を把握できず、院内・院外の多職種連携を妊娠中から始められなかった事例
   5)今後の課題と展望
   
Ⅵ章 将来を見据えるユニークな取り組み紹介
  1.産婦人科医が行う周産期メンタルヘルス外来
   1)取り組みの概要
   2)取り組みを始めたきっかけ/理由
   3)課題と展望
  2.単科精神科病院での産後メンタルヘルスケア実践
   1)取り組みの概要
   2)取り組みを始めたきっかけ/理由
   3)取り組んでみてよかった点
   4)これから取り組みを始める施設へのアドバイス
  3.精神科病院の母子同室入院
   1)日本の精神医療における母子同室入院
   2)のぞえの丘病院と周産期メンタルヘルスケアについて
   3)母子同室入院と母子ケアユニット
   4)母子同室入院を行う意義
   5)当院における「母子同室入院」について
   6)母子同室入院と「すくすくサロン」との連携
   7)当院で行っている「母子同室入院」の実際
   8)母子同室入院を行った患者の特徴
   9)母子同室入院と産後ケア事業
   10)母子同室入院が生かされるための周産期メンタルヘルスケアシステム
  4.産婦人科クリニックでの精神科医の定期的診療
   1)マタニティーホスピタルで始めたメンタルケア外来
   2)実際の取り組みでわかった利点と課題
   3)地域システムとしてのメンタルヘルスケア
   4)立ち上げて実感したメンタルヘルスケアの意義
   5)“普通の精神科医”が変身を遂げられたわけ
  5.産婦人科クリニックでの精神科医の定期的診療
   1)取り組みの概要
   2)取り組みを始めたきっかけ/理由
   3)取り組んでみてよかった点
   4)これから取り組みを始める施設へのアドバイス
  6.周産期メンタルヘルスに関わる訪問看護事業
   1)取り組みの概要
   2)取り組みを始めたきっかけ/理由
   3)取り組んでみてよかった点
   4)これから取り組みを始める施設へのアドバイス
   
Ⅶ章 対談 ―国内の周産期メンタルヘルス活動を円滑にするために―
  テーマ1 わが国の周産期メンタルヘルスは、この10年どのような変化を遂げてきたか?
  テーマ2 妊産婦の自殺対策として、どのような問題点が残されているか? 足りないものは何か?
  テーマ3 周産期メンタルヘルスの今後の発展に向けて、どのようなことに注目しているか?
   
あとがき
巻末資料(周産期メンタルヘルス関連ガイド集・用語一覧)