糖尿病学 2025**診断と治療社/門脇 孝/978-4-7878-2710-4/9784787827104**
発行 2025年6月
判型:B5判 182頁
ISBN 978-4-7878-2710-4
【編 集】
門脇 孝(国家公務員共済組合連合会 虎の門病院)
山内 敏正(東京大学大学院 医学系研究科 糖尿病・代謝内科)
わが国の糖尿病領域の最重要課題や基礎・臨床研究の最新トレンドを把握できる珠玉のイヤーブック.日本を代表する第一線で活躍する医師による論文20編を収録.基礎研究では糖尿病治療の層別化や新薬開発につながるシーズの話題など,臨床・展開研究ではガイドライン解説や新薬・新規デバイスの話題のみならず被災地支援やアドボカシーなど,糖尿病治療の現在がわかる1冊.糖尿病研究者だけでなく一般臨床医にとっても必読の書.
【目 次】
口絵
序文
基礎研究
1.多民族集団における2型糖尿病ゲノム解析とリスクバリアントのサブタイプ分析
はじめに:要旨
多民族2型糖尿病GWAS
2.機械学習に基づく日本人2型糖尿病のサブクラス分類
はじめに:糖尿病クラスター分類
クラスター分析に基づく成人型糖尿病のサブクラス
血糖コントロールと糖尿病合併症予防のための治療戦略
おわりに:糖尿病クラスター分類と糖尿病個別化医療
3.生命の脂質多様性と代謝ホメオスタシスの制御
はじめに
ノンターゲットリピドミクスを駆使した生体内の脂質多様性の包括的解析
腸内細菌が産生するユニークな脂質分子による腸管ホルモン分泌制御機構
おわりに
4.肥満の新しい調節メカニズム―大腸の脂質代謝酵素による腸内細菌叢の変容の意義
はじめに
sPLA2—Xの欠損は肥満を増悪する
sPLA2—Xの欠損は大腸の炎症を増悪し上皮バリアを低下させる
sPLA2—Xの欠損により大腸の高度不飽和脂肪酸が減少する
sPLA2—Xの欠損による代謝への影響はPLA2R1に依存しない
sPLA2—X欠損マウスの肥満増悪の表現型は抗生物質投与または同居飼育により消失する
sPLA2—Xの欠損は腸内細菌叢を変化させ短鎖脂肪酸に影響を及ぼす
おわりに
5.肝臓由来SerpinA1の褐色脂肪細胞活性化による代謝制御
はじめに
脂肪組織
褐色脂肪細胞のインスリンシグナル
SerpinA1による脂肪前駆細胞の増殖および成熟脂肪細胞のミトコンドリア活性化作用
SerpinA1の生体における白色および褐色脂肪組織に及ぼす影響
SerpinA1の褐色脂肪組織への作用メカニズム
おわりに
6.iPS細胞を用いた再生医療
はじめに
多能性幹細胞からの膵系譜の分化誘導
臨床試験
拡大培養
病態モデルとしての可能性
立体的膵臓臓器の再構築
おわりに
7.SGLT2阻害薬による老化細胞除去の促進と治療応用への可能性
はじめに
SGLT2阻害薬がもたらす糖尿病治療効果および心・腎保護効果とその機序に関するパラドックス
細胞老化概説:老化細胞の蓄積と加齢関連疾患の病態への関与
老化細胞除去~senolysis~
SGLT2阻害薬がもたらす老化細胞除去効果とその機序
今後の展望
8.自然免疫と代謝関連病態の最新知見
要約
はじめに
DNAセンサー
肥満・インスリン抵抗性におけるDNAセンサーの役割
糖尿病性血管障害におけるDNAセンサーの役割
代謝関連病態の治療標的としてのDNAセンサーの可能性
おわりに
9.歯周炎と糖尿病および糖尿病合併症との関連における最新知見
はじめに
インスリン抵抗性・作用不全と歯周炎重症化の関連
糖尿病関連歯周炎の病態形成因子としてのインスリン抵抗性
歯周病が糖尿病合併症にもたらす影響
おわりに
10.分子動力学法を用いたレプチン受容体ミスセンスバリアントのin silico解析
はじめに
LEPRの構造
in silicoアプローチ
ミスセンスバリアント情報の収集
立体構造モデルの構築
フォールディング核
フォールディング核解析とその限界
ドメイン同士を回転屈曲させることが明らかに
結論と今後の展望
臨床研究・展開研究
11.インスリンポンプの進歩
はじめに
ポンプ療法のタイムライン
TIRの登場とHCLへの道
欧米におけるAIDの現状
AIDの今後
ポンプ療法の将来
12.膵移植の現状と課題
はじめに
膵臓移植の歴史と現状
膵島移植の歴史と現況
わが国の膵臓移植,膵島移植の課題
13.能登半島地震におけるDiaMATの活動
これまでのDiaMATの取り組み
令和6年能登半島地震への初期の対応
令和6年能登半島地震への直接支援に向けて
令和6年能登半島地震への直接支援―先遣隊―
令和6年能登半島地震への直接支援
令和6年能登半島地震への直接支援の流れ
DiaMATの課題と今後の対策
おわりに
14.糖尿病診療ガイドライン2024
基本理念と社会的背景
エビデンスの構築プロセス
策定組織と連携体制
利益相反マネジメント
改訂要点と臨床応用
ライフステージ別の治療戦略―小児・高齢者・妊婦への対応―
課題と将来展望
おわりに
15.GLP—1受容体作動薬,GIP/GLP—1受容体作動薬の多面的効果
インクレチンとは
GLP—1受容体作動薬とその分類
GIP/GLP—1受容体作動薬の登場
多面的効果
今後の課題
16.肥満症治療薬の安全・適正使用に関するステートメントを中心とした肥満症治療の現状
はじめに
自由診療によるGLP—1受容体作動薬の適応外処方と社会問題
安全・適正使用に関するステートメントの発出
最適使用推進ガイドライン
肥満症治療の過不足ない保険適用と将来の展望
17.糖尿病アドボカシーの歴史と新たな呼称がもたらす社会変革
はじめに
医療におけるアドボカシーの黎明
米国で先行した糖尿病アドボカシーと多様かつ包括的な事業展開
わが国における糖尿病アドボカシーの歩みと解決すべき社会課題の変遷
スティグマの構造的理解と糖尿病特有の患者・医療者関係
新たな呼称が提案された背景と真意
糖尿病の病名・呼称の歴史
新たな病名・呼称検討の歩み
新たな呼称「ダイアベティス」
揺れ動く感情と判断
新たな呼称に期待する社会変革
おわりに
18.グリコアルブミン測定を利用した非/低侵襲な糖尿病管理法の開発
はじめに
グリコアルブミン(GA)とは
GA値測定の再定義
2週間ごとの静脈血GA値測定は糖尿病管理を改善する
郵送による低侵襲指先血GA値測定の開発
毎週の郵送指先血GA値測定で生活習慣を振り返ると糖尿病管理が改善する
さらなるGA値測定の侵襲性低減を目指して
今後の展開
19.若年発症の糖尿病のトレンドについて
はじめに:リアルワールドデータ(RWD)の活用の現状
背景
方法
結果と考察
おわりに
20.認知障害のある高齢者の糖尿病について
はじめに
糖尿病と認知障害
血糖コントロールと認知障害
高齢者糖尿病における認知障害のスクリーニングツール
カテゴリー分類に基づく血糖コントロール目標値の設定
高齢者糖尿病の認知障害の進展予防
おわりに